日本版AAAS設立の趣旨
私たちは、以下の目的・使命・形態の団体の設立を目指しています。
目的：人類の福祉向上と持続的な繁栄
使命：対話を通じた科学技術の振興
形態：分野、組織、職種・職階、世代の垣根を超え、科学を支える人が誰でも参加できるボトムアップ型の組織
AAASこと、アメリカ科学振興協会 (American Association for the Advancement of Science) は、科学者間の協力を促進し、科学的自由を守り、科学界からの情報発信を奨励し、全人類の幸福のために科学教育をサポートする世界的にも最大級の学術団体であり、有名な科学雑誌『サイエンス』の出版元としても知られています （Wikipedia より）。
170年を越える歴史を持つAAASを参考に、日本版AAAS設立の趣旨（暫定版）をまとめました。
日本版AAASの正式名称については、これから参加・応援いただく皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
以下が日本版AAAS設立の趣旨（暫定版）の全文です。
日本版AAAS設立の趣旨
（第1暫定版、2019年12月23日）全文をPDFでダウンロード
私たちが普段何気なく送っている生活のほぼすべては、先達が培ってきた科学により構築された知識の体系とそれに基づいて開発された技術に支えられています。私たちが日々用いているモノやサービスが生まれた背景には、研究者たちが国や地域を超えて蓄積してきた膨大な量の研究が存在し、その営みがなかったとするとこの日常は存在していなかったでしょう。
一方で、私たちの社会は何の不自由もないパラダイスではありません。少子高齢化問題、貧困問題、エネルギー問題、こころの問題、治療困難な種々の病など、解決しなければいけない課題が山積しています。科学を通じてこれらを解決しないことには、すべての人が豊かで健康な生活を安心して送ることのできる未来は決して実現しないでしょう。
社会が科学の活動に投資し運営するのは、そのような価値と期待が社会によって認識され共有されるからです。科学のこれまでの貢献と未来のための必要性を社会がどの程度理解し認識しているかが、科学への投資とそのあり方を決定すると考えられます。
我が国の研究力の低下が深刻な問題となっています。若手の研究職志望者の激減や論文数の低下など様々な指標・エビデンスが、これが事実であることを示しており、昨今の日本の国力低下の間接的・直接的要因となっている可能性も指摘されています。この危機の背景には科学とそのあるべき姿についての洞察と戦略の欠如があると考えられます。残念なことに、投資を行う行政、投資を受ける研究者、その成果を享受する国民のそれぞれでこれらが不足し、そして十分に共有されていないのです。
我が国の科学の凋落をくい止め、復活させ、明るい未来の礎を築くためには、科学の振興に意欲を持つ多様な立場の人々が対話・協力し、科学がこれまでに果たしてきた役割を分析・理解し、その理想的なあり方を検討し実現する必要があります。しかしながら、現在、日本にはそのようなことを行うことのできる場や組織が存在しません。
私たちは、以上のような考え方に基づき、日本国民の、ひいては人類全体の福祉の向上のため、信頼性の高い知識体系の構築、有用な技術の開発、それらの社会における活用と普及を支援し、促進することをその使命とし、分野、組織、職種・職階、世代の垣根を超え、科学の振興に意欲を持つすべての人々が参加する組織、日本科学振興協会(Japanese Association for the Advancement of Science; JAAS; 仮称)を我が国において立ち上げることを提案いたします。この組織は同様な使命を有し、170年を越える歴史の中で成功を収めているアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science, AAAS)に範を取ることとします。
JAASの具体的な活動内容の例を以下に示します。設立に向けご協力いただけますと幸いです。
- 社会と科学者との対話・交流の促進。
- 開かれた科学研究・技術開発の支援。
- 科学技術の公正性・健全性の促進。
- 社会問題に関する科学的観点からの提言。
- 公共政策における科学の責任ある利用の促進。
- 社会における科学技術活用の支援。
- 科学技術教育の推進。
- 多様性のある科学技術人材育成の支援。
- 科学技術における市民の参加と国際協力の推進。
- 科学技術研究を進める環境の改善。
科学の振興に関心をもつ様々な立場の皆さまからのご意見が必要です。
Twitterのハッシュタグ #日本版AAAS や、下のDisqusコメント欄へご意見をお寄せください。